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COLUMN
不動産売却コラム
売れない田舎の空き家を売却するには
「田舎にある空き家が何年も売れずに困っている」「どうして売れないのだろう?」祖父母など親族が暮らしていた家が、そのまま空き家として残っている人もいるでしょう。
「田舎の家は売れない」とよく言われますが、なぜ田舎の空き家は売れないのでしょうか?ここでは、田舎の空き家が売れない理由について解説します。
「田舎の家は売れない」とよく言われますが、なぜ田舎の空き家は売れないのでしょうか?ここでは、田舎の空き家が売れない理由について解説します。
目次
田舎の空き家が売れない理由
中古住宅購入の需要が低い
田舎の空き家が売れないのは、中古住宅購入の需要が低いからです。そもそも田舎では戸建てを建てて住む人が多く、結婚後も実家で親と同居する人や、親族から譲り受けた家に住んでいる人が多いです。そのため、都会のように賃貸住宅を借りる人や、中古物件を購入する人自体が少ない傾向にあります。賃貸に住む人は、他の土地から移り住んできた人がほとんどです。仕事の関係や田舎への移住を考えて部屋を借りたり、家を新たに所有したりする人もいますがそれほど多くはありません。
特に、現在はどこにいても働ける環境が整ってきたことから、仕事で地方に移り住むという人は少ないでしょう。こうした田舎の生活スタイルも影響し、田舎の中古住宅は都会と比べて売れづらいのです。
家が古く、老朽化が進んでいる
田舎の空き家が売れずに残っているのは、建物の老朽化が進みすぎていることも一つの原因です。家は人が住まなくなった途端に、劣化する速度が速まります。人が暮らしていると、定期的に玄関の開閉が行われ空気が循環します。そのため、湿気が床や壁に溜まることはありません。しかし、空き家として誰もいない状態になると家は締め切られた状態が続き、湿気が溜まりカビが発生し、内壁や外壁が劣化してしまいます。定期的に手入れをしなければ壁や天井、床などの木材が傷みやすく、建物全体が老朽化していきます。
中古住宅を購入する際、外観がボロボロの建物を購入したい人は少ないでしょう。建物が古すぎると一から建て直さなければならないケースもあり、売却をするにもお金がかかります。
また、1981年以前に建てられた建物の場合、新耐震基準を満たしていない可能性があります。その場合、建物を売るには耐震基準を満たすためのリフォームを行わなければなりません。
立地の条件が良くない
田舎の中でも、立地の条件が良くない空き家は売れづらい傾向にあります。家を購入する時、多くの人が駅までの距離や通勤・通学までにかかる時間、周辺のお店や病院などの施設が気になるものです。田舎の中でも、移動が不便で周辺に何もない場所に建てられた家を購入したい人は少ないでしょう。住んでいた時は盛んだった場合でも、過疎化してしまうと途端に人はいなくなります。周辺住民も少なくなっている状態では、より一層購入したいと考える人は少ないです。立地の問題はどうにもできない問題なので、建物付きで売るのは諦めた方が良いかもしれません。
不動産会社が扱ってくれない
田舎の空き家が売れずに放置されているのは、取り扱ってくれる不動産会社が少ないからです。不動産会社は売買の仲介をすることで、仲介手数料を利益として得ています。仲介手数料は売買価格のパーセンテージによって決まるため、不動産会社の多くは売値が安くなりやすい田舎の空き家には積極的に手を出しません。また、そもそもの需要が低いことと、老朽化が進んでいることにより中古物件としてアピールできる内容が少ないため、売ること自体が難しいのが現状です。不動産会社としては、取り扱った物件はできるだけ早く売れてほしいものです。
そうした要因から、田舎の空き家は売り物件のまま放置されてしまいます。
境界線や再建築不可など問題がある
長年空き家のままで放置していると、境界線や再建築不可などの問題が生じている場合があります。再建築不可の状態とは、土地が現在の建築基準法に適していないために、空き家を潰して新たに建物を建てることができない状態を言います。再建築不可に該当する土地の主な原因は接道問題です。建築基準法では、4m以上の幅の道路に対して建物の敷地が2m以上接していなければなりません。再建築不可に該当する基準は他にもあります。
・建物の敷地が建築基準法上の道路と接していない
・建築基準法上の道路と接しているが、幅が2m未満
・接している道路の幅が4m未満のものや、私道としか接していない
空き家を建てた当時は基準をクリアしていても、年月が経つうちに近隣の建物が立ち並んだことで、基準を満たさなくなる例はあります。また、建築基準法の改正によって、基準以下になってしまう場合もあります。
続いて、境界線の問題についてですが、こちらは空き家の売却時によくあるトラブルの一つです。空き家の境界線を確定せずに放置していると、売却時に誤差が生じる可能性があります。
通常、空き家を売却する場合、売り主側が土地の測量を行ったうえで境界確認書を作成し、それをもとに売買が行われます。売却地の測量の仕方は、公簿取引と実測取引の2通りです。
公簿取引とは、登記簿上に記載された土地面積を基準に売買価格を決める方法です。対して実測取引は、実際に測量して得られた実測面積をもとに価格を定めます。
登記簿上に記載されているものが正しいと思われがちですが、実際はそうでない場合があります。実測した結果、登記簿に記載されている面積との誤差が生じることは珍しくありません。
また、公簿取引を行った後、売却した土地の一部が隣家の土地の境界線を超えていたというトラブルもあります。この場合、売り主に売却価格の減額が行われるおそれがあります。長年空き家として放置していると、境界線が曖昧になりやすいです。
売れない空き家の対処方法
田舎の空き家が売れない理由について知ったところで、続いて売れない空き家を売却するための対処方法を紹介します。挑戦しやすい方法を試してみてください。
メンテナンスをする
外観を綺麗にするだけでも、空き家に興味を向けてくれる人が現れるかもしれません。敷地に生えている草木を綺麗にしたり、窓ガラスを拭いたりするだけでも印象は変わります。室内は定期的に空気を入れ替え、掃き掃除をして埃を綺麗にしてみてください。人が住んでいない家でも、定期的に空気を入れ替えればカビの繁殖を防げます。特に木造住宅の場合は、湿気により木が腐食しやすいです。まずは、空き家の現状を確認しながらメンテナンスを行いましょう。
リフォームする
自身のメンテナンスだけでは追いつかないほど劣化している場合は、リフォームを検討するのも一つです。中古物件に興味を持って購入したい人が現れても、部屋の中が腐食している状態では購入したいとは思えません。ただし、リノベーションやリフォームをするにも費用はかかります。お金を出して綺麗にしたものの、空き家は売れずじまいとなっては損をする可能性もあります。リフォーム費用が対価に見合っているか検討したうえで、メリットが感じられる場合はリフォームをした状態で売りに出すのも一つの手です。
賃貸に出してみる
長年使われていない空き家を購入するのは、購入者にとってリスクが高いものです。売り物件となると、取り扱ってくれる不動産会社も少なくなります。売却が難しい場合は、まずは賃貸物件として貸し出せる人を探すのも一つの方法です。空き家として長く放置するよりかは、賃貸で安く住んでもらえる人を見つけた方が家のためにもなります。人がいないことによる劣化を防げ、家賃収入も得られます。
賃貸に出す場合は、「リノベーション可能」としておくと借り手も見つかりやすいです。リノベーションやDIYが好きな人ならば、安い金額で家が借りられて、自分の好きなように変えられる状態は嬉しいものです。
土地にして売る
建物の劣化が進みすぎて、新たに人が住める状態でない場合は、取り壊してしまうのも一つの手です。リフォームやリノベーションをして、買い手や借り手を探すのも苦労が伴います。どちらが最適か天秤にかけ、資金と時間をかけてリフォームをする方が大変だと感じた場合は、更地で売るのが良いでしょう。更地の方が、空き家を売却するよりも需要が高いです。土地を購入すれば、後は自分の好きなように建物を建てられるからです。
ただし、建物を取り壊す場合にも解体費用がかかります。木造住宅の場合、解体費用は1坪あたり40,000円です。鉄鋼造になると、1坪あたり60,000円かかります。更地にするにも、費用は必ずかかります。
解体費用を用意するのが難しい場合は、「売主の費用負担で建物を取り壊すことも可能」といった内容を記載して売却するのも一つの方法です。空き家よりも売れやすく、購入者が見つかる可能性も高くなります。
参照:NPO法人空き家・空き地管理センター
田舎の空き家が得意な不動産会社を見つける
不動産会社の中には、田舎の空き家の売却が得意な会社もあります。多くの不動産会社が取り扱いを拒否する場合でも、その地域の売買を得意としている不動産会社を見つけられれば、売却を成功させられる可能性が上がります。不動産会社にも個性があります。大手の有名な不動産会社だけが、売却できる幅が広いわけではありません。空き家を所有している地域の不動産会社を調べてみてください。これまで扱ってもらえなかった空き家も、取り扱ってくれる会社が見つかるかもしれません。
個人に空き家を寄付する
何をしても空き家が売れない状態が続いている場合は、個人に寄付する方法もあります。寄付を考える場合の一番の候補者は、隣地の所有者です。隣地の人にとっては、自分の土地を広げられるのでメリットがあります。ただし、空き家のままでは寄付を受け取ってくれないかもしれません。特に売れない空き家だと、受け手も利用方法に悩みます。寄付をする場合は、「受け取ってくれるならば、解体代はこちらが支払います」と伝え、土地にしてから渡すのが一般的です。解体費用がかかってしまいますが、拠り所に困っていた空き家を手放せます。
また、個人に土地や空き家を寄付すると、相手側に贈与税がかかる場合があります。土地や建物の評価額が110万円を超える場合は、資産を受け取ったものとして贈与税がかかるのです。ただし、110万円を超えなければ、贈与税はほとんどかかりません。売れない空き家や土地の場合は、110万円を超えない場合がほとんどなので、この点は安心して良いでしょう。
寄付をする場合は、個人間でも後にトラブルを避けるために贈与契約書を交わします。また、所有者移転手続きも必要です。寄付をすると、所有者が相手に変わるからです。所有者移転手続きは、受け手が行うのが基本なので寄付する際は予め伝えておきましょう。
法律上相手のものになったことを示しておかなければ、寄付後の土地に問題が起きた場合に、責任が降り掛かってくる可能性があります。知り合いに渡す場合でも、必要な手続きは欠かせません。
公益法人に空き家を寄付する
個人以外には、公益法人に空き家を寄付する方法もあります。公益法人とは、非営利で公益性の高い団体のことです。社団法人・財団法人・学校法人・NPO法人などが、公益法人にあたります。株式会社などは、営利目的の会社です。公益法人へ空き家を寄付すると、空き家を使って社会福祉施設に役立てたり、土地を利用して教育施設や文化施設を建てたりする場合に活用してもらえます。
公益性の高い寄付として認められれば、譲渡所得税が非課税になるため、公益法人は積極的に寄付を受け付けてくれます。ただし、公益法人に寄付をする場合は、個人間とは異なり寄付証明書を作成しなければなりません。個人に寄付をするよりも手続きが大変な面はありますが、社会のために役立てるのが大きなメリットです。
実際に、兵庫県篠山市で寄付した空き家が「篠山城下町ホテル」というホテルに変わった例があります。他にも、空き家が古民家のお店になったり、宿泊施設になった例がいくつかあります。売れない空き家に手を焼いているならば、公益法人に寄付してみるのはいかがでしょうか。
まとめ
田舎の空き家は需要が低く、家の状態も良くないことから空き家のまま売れない家がたくさんあります。まずは、家の状態を確認してメンテナンスしてみてください。家の中が修復可能な状態ならば、田舎の空き家の売却を得意としている不動産会社に依頼してみましょう。どうしても売れない場合は、寄付を考えてみるのも一つの手です。空き家のまま放置している時間が長いと、どんどん手放すのが難しくなってしまいます。ぜひ、記事を見たこのタイミングで、売れない空き家を活かせる方法を考えてみてはいかがでしょうか。
※こちらの記事は[2023-07-04]時点の記事になり、今後法改正などにより変更になる可能性がございます。