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家を売るタイミング、不動産を売却しやすい時期とは

COLUMN

不動産売却コラム

家を売るタイミング、不動産を売却しやすい時期とは
不動産の売却を検討するにあたって気になるのは、「いつ売れば良いか?」「売却しやすい時期はあるか?」ということではないでしょうか。

不動産売却には「売り時」といわれるタイミングが存在し、それは非常に重要です。タイミング次第で売却の条件は変わりますし、知識がないことで大きな損をする可能性は高くなるでしょう。スムーズに売れるかどうかも違ってくるため、しっかりと理解する必要があります。

たとえ優良物件であったとしても、タイミングを間違えると売却条件が悪くなることもあるため注意が必要です。

本記事では、不動産を売却しやすいタイミングや時期について解説していきます。より良いタイミングを知ることで、希望に沿う条件での売却を実現しましょう。

不動産を売却しやすいタイミングは?


不動産売却を成功させるためには、あらかじめ売却しやすいタイミングを知っておくことが重要です。

タイミングの知識がないと、大きな損をする可能性が高まります。タイミングを見定めるにあたっては、いくつかの要因がありますので、ご自身の状況と照らし合わせながら確認していきましょう。

不動産売買が活発な時期

不動産業界では、「繁忙期」という売買が活発になる時期が存在します。繁忙期とは、購入者も売却者も共に多くなる時期で、2〜3月及び9〜11月です。

不動産を良い条件で売却するためには、できるだけ多くの購入希望者がいるタイミングを狙いたいところ。不動産を購入したい人が増える繁忙期は、売却するタイミングとして最適です。

2〜3月の春先は、引っ越し先を探す人が増える時期です。なぜなら、日本では年度の変わり目が4月で、入園や入学など新生活を迎えるタイミングであることや、転勤・異動などのシーズンであるためです。新学期や新年度が始まる少し前に住宅を購入する人が増えるという観点から、売却がしやすいといえるでしょう。

注意すべきポイントは、4月に売り出すのでは遅いということ。4月から始まる新生活のために不動産を探す場合、その取引が行われるのは2〜3月ということになります。そのため、12〜1月には売り出しを始めましょう。繁忙期である2〜3月より少し前の12〜1月頃に、購入希望者の目に触れるよう不動産ポータルサイトなどで「新着情報」として掲載するのがベストです。

秋も、春ほどではないものの転勤や異動が行われやすい時期のため、マンションなど不動産の購入希望者が増えます。春と同様、繁忙期といわれる9〜11月の少し前から売り出しましょう。

ただし、不動産の売買が活発ではない時期でも、家が全く売れない訳ではありません。購入希望者は減るとしても、購入希望者の検討度合いが高い可能性はあります。その場合だと売却価格に影響が出ることは少なく、条件があえばむしろ高く売れるケースも考えられます。

不動産価格の相場

不動産売却のタイミングを判断するうえで、不動産価格の相場はポイントになります。不動産の相場は、社会情勢や景気と密接な関係があるからです。

近年では、ご存知のとおり新型コロナウイルスの感染拡大が社会情勢や経済情勢にさまざまな影響を及ぼしています。不動産売却においても、何かしらの影響が生じているでしょう。

相場の観点から売却のタイミングを考えるとしたら、金銭的にお得な売却は、価格が安い時期に買って、一番高い時期に売ることです。しかし、プロの不動産会社でもそう上手くはいきません。

相場の傾向を把握し、価格の推移をイメージするためには、国土交通省によって毎年公表される「地価公示価格」や「不動産価格指標」をチェックすると良いでしょう。2つの指標を活用することで、価格の水準や動向を把握でき、売却タイミングの目安をつけることができます。

①地価公示価格と基準地価
不動産価格の相場を知るために参考になる1つ目は、「地価公示価格」です。
地価公示価格とは、土地売買の目安となる価格のこと。不動産鑑定士が鑑定した標準値の鑑定結果を元に発表される代表的な指標の1つです。最近の土地価格の動きが分かるため、不動産価格のおおまかな傾向や今後の推移を予測する参考になります。

しかし、知りたい土地が標準地ではないケースもあります。その場合に参考とするのが「基準地価」です。基準地価は、国ではなく都道府県が地価調査を行ったもの。地価公示価格との違いは、公表している機関のみで実質的には同じ指標と考えて問題ありません。

実際に取引が成立する価格は、地価公示価格の約1.1〜1.2倍で計算することが多くなっています。できるだけ近い条件の地価公示価格を参考にしますが、土地の形状や周辺環境、駅からの導線など土地の価格に影響する要素が全く同じものはありません。あくまで参考値と考え、より実際の価格に近い価格を知りたい場合は、不動産会社へ査定をしてもらうのがおすすめです。

②不動産価格指数
不動産価格の相場を知るために参考になる2つ目は、「不動産価格指数」です。
不動産価格指数とは、2012年8月から国土交通省が不動産の取引価格情報をもとに発表しているもの。物件の立地や特性といった影響を取り除いて算出されています。変動する不動産価格の動向をスピーディに把握することを目的としており、不動産の活発さが的確にわかります。

公示地価はピンポイントな土地の価格水準がわかるのに対し、不動産価格指数は土地に限らず広域的な不動産取引の動向を把握できます。公示地価はあくまで年に1回の公示ですが、不動産価格指数は月単位で変動が示されるもの。細かな不動産取引の流れを把握したい際には、不動産価格指数は大変便利なデータといえるでしょう。

最新の不動産流通機構の不動産価格指数(令和4年12月28日公表)によると、住宅全体の不動産価格指数は現在も緩やかに上昇中です。特に、マンションの指数は大きく上昇しており、2013年ごろから年々価格が上がっていることから、マンションの需要の高さや人気が伺えます。

また、新型コロナウイルスの影響によるテレワークの普及やおうち時間の増加で、住まいに対する考え方が変化してきました。「新しい生活様式」という言葉が浸透するほど、日常はガラリと変わりました。「おうち時間をもっと快適に過ごしたい」「在宅用の仕事部屋が必要」「出社の必要がなくなったから郊外移住したい」といった理由から、住み替えをする人が増加しています。不動産の需要が増えているということは、不動産価格の相場が高騰し続けるということです。

③相場のセオリー
不動産の相場をもとに家の売り時を考える場合、セオリーとしては以下のとおりです。

・相場が右肩下がりで下落傾向が続くなら、早く売ったほうが得
・相場が右肩上がりで上昇傾向が続くなら、遅く売ったほうが得
・相場が横ばいなら、いつ売っても同じ

相場が右肩下がりで、価格が下がり続けている状態であれば、それ以上価格が下がる前に売らないと損をしてしまいます。反対に、右肩上がりが続いて価格が上昇し続けているのであれば、すぐには売らず値上がりするのを待つほうが、売却価格は高くなる可能性があります。

一番の理想は、相場が底辺まで落ちた時に買った物件を、上昇具合がピークに達したときに売るという流れでしょう。しかし、相場がいつ変わるのかの判断は不動産のプロでも難しいことです。なぜなら不動産の相場は細かい動きを繰り返すもので、上昇・下落のトレンドが長く続くことはないためです。

たとえば、上昇気味の相場が一瞬下がったとして、「これ以上、下がる前に」と慌てて売却したら直後に回復してそのまま上昇が続く場合もあるでしょう。もちろん逆のパターンもあり、今後の予測については個々の判断にゆだねられます。

予測がむずかしかったとしても、「買ったときよりも高く売れるか、安くなるか」はおおよそ把握できるはずです。買ったときよりも高く売れそうであれば、売却のタイミングとしては間違いありません。

税金や特別控除

不動産売却の際には、いくつかの税金が課せられるのが一般的です。その中で、家を売るタイミングで支払額が変わるものがあります。家をいつ売るかによって税金の負担を減らすことができるのであれば、ぜひ知っておきたい知識ではないでしょうか。

不動産売却で支払う税金を抑えるために利用できる制度には、以下の4つが挙げられます。

①所得税と住民税の税率
不動産を売却して手に入れた利益を「譲渡所得」といいますが、譲渡所得には譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)が課税されます。譲渡所得税は、売却した不動産を所有していた期間によって税率が大幅に変わるため注意が必要です。

譲渡所得税は、以下の計算式で求めます。

(売却代金 ―(取得費+譲渡費用))×税率

具体的な税率は以下のとおりです。

所有期間

分類

税率

5年以下

短期譲渡所得

39.63%

5年越え

長期譲渡所得

20.315%


上記表から分かるように、不動産の所有期間が5年以下か5年超えかを境目に税率が切り替わります。所有期間は、売却した年の1月1日時点でカウントされる点も注意しましょう。買ってから5年経ったとしても、翌年になってから売らないと短期譲渡とみなされ39.63%の税率となります。

売却が急ぎではないのであれば、5年以下での売却は避ける方が良いでしょう。税率が切り替わるタイミングを見極めることは、売却タイミングを見定めることにつながります。

②3,000万円の特別控除
3000万円の特別控除とは、居住用の不動産を売却する際に、3000万円までの譲渡所得税が控除される制度です。
税額は、(譲渡所得-3000万円)× 税率という計算式で計算されるため、譲渡所得が3000万円以下の場合は所得税と住民税が課税されません。

3000万円の特別控除を受けるには、マイホームを譲渡した翌年2月16日から3月15日までの確定申告時期に、税務署で手続きを行う必要があります。そのほか、売主の居住用であることや前年や前々年にこの控除を利用していないこと、 物件の買主が配偶者や親族、同族会社ではないことなど満たすべき要件があるので、確認しておきましょう。

なお、「空き家になって3年が経過する年の12月31日まで」のタイミングを逃すと適用ができなくなるため、空き家を売却しようと検討している方は注意が必要です。

③マイホーム譲渡の軽減税率
所有期間が10年を超える居住用住宅を売却した際に軽減税率が適用されるのが、10年超所有軽減税率の特例です。売却した年の1月1日に所有期間が10年を超えていれば適用されます。

所有期間が10年超ということは長期譲渡所得に分類されるため、譲渡所得に20.315%の税率がかかるのは前述の通りですが、譲渡所得金額の6,000万円以下の部分については、以下の通り税率が低くなります。
 

所得税

住民税

合計

6000万円以下の部分

10.21%

4%

14.21%

6000万円超の部分

15%

5%

20.315%


この特例は、3000万円の特例控除との併用が可能です。

④相続税の取得費加算の特例
相続又は遺贈によって取得した家を売る場合には、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却すると、税額が軽減されます。

不動産を売却して譲渡所得が出た場合に譲渡所得税がかかることは前述のとおりですが、相続した家の売却にも発生します。譲渡所得を計算する際には、売却代金から取得費と譲渡費用を控除します。
この取得費に相続税の一部を上乗せできる特例が「相続税の取得費加算の特例」です。この特例を受けることができれば、譲渡所得がその分少なくなり譲渡所得税の節税になるというわけです。

相続税の申告期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」ですので、被相続人が亡くなってから3年10ヶ月までのタイミングで売却をしましょう。

住宅ローン金利

次に、住宅ローン金利から売却タイミングを考えていきます。前提として、金利が低い時のほうが、高い金利の時よりも売り時だといえます。なぜなら、購入希望者が住宅ローンを組むことを考えると、金利が低いほうがローンを組みやすいためです。
同じ金額の不動産を購入しても、金利の差で最終的な支払い額は大きく変わります。買い手目線で考えるなら、低金利のほうが売却しやすいのは一目瞭然でしょう。

そうはいっても、金利だけでタイミングを判断するのは危険です。不動産を売却しやすいタイミングは、社会情勢や経済情勢に左右されます。日本では現在、低金利政策が続いており、現在はかつてない超低金利時代といわれています。住宅ローンが低金利ということは、景気が悪いということでもあります。景気が悪ければ、不動産価格の相場は下がりますし、人々の購買意欲が下がる可能性も考えられるでしょう。

住宅ローンから考えると、すぐに売却するべきかの判断はむずかしいところです。ただし、数年待機したとしても、これ以上金利が大幅に下がることは考えにくいため、ほかの要因も意識しながら検討する必要があります。

住宅ローン金利は、あくまで売り時を判断するひとつの指標です。金利だけを見て判断するのは危険なのでやめましょう。

家の築年数

不動産の売却額は、築年数により大きく変わります。もちろん築年数が浅く新しい建物ほど高く売却できます。一方、築年数が経過すればするほど、資産価値は確実に低下し売却額も低くなるでしょう。中古戸建てに関しては、築20年ほどで価値がほぼ0になるといわれていますし、中古マンションも築15年ほどを境に購入希望者の需要が急激に減ります。

不動産売却のタイミングをいつにするか検討するにあたって、築年数は非常に重要なポイントです。タイミングを逃さないように計画を立てなければ、大きな損をする可能性が出てくるでしょう。

大規模修繕の時期

マンションの場合は、大規模修繕の時期も売却のタイミングを左右します。売却予定のマンションに近々大規模修繕の予定がされているかをチェックしておきましょう。

大規模修繕とは、マンションを老朽化から守り、機能を維持するため計画的に行われる修繕のこと。マンションの管理業者や管理組合で、あらかじめ長期修繕計画が立てられており、10~15年に一度のスパンで行われます。修繕の費用に充てられるのは、修繕積立金です。

大規模修繕の前と後では、どちらが売却のタイミングとして良いのでしょうか。結論からお伝えすると、基本的に大規模修繕の前に家を売るのがおすすめです

なぜなら、大規模修繕をきっかけに、修繕積立金が大幅に増額されるマンションが増えているからです。修繕積立金の大幅な増額は、マンションの売却価格を下げる結果につながります。

もちろん、大規模修繕実施後のマンションは、設備や共用部分が新しくなり、買主によい印象を与えることができるでしょう。ただし、多少見た目が古かったとしても、共用部分の掃除が行き届いていたり、部屋そのものの内装が綺麗だったりすればマンションの売却は可能です。

家が売れない閑散期


ここまで、不動産が売却しやすいタイミングについて解説しましたが、家が売れない閑散期についても知っておくべき知識です。不動産売買の取引が活発でない閑散期も注目をしましょう。

不動産の閑散期は繁忙期以外の時期となり、4〜8月と12〜1月中頃までとなります。件数が一番少ない月は8月で、その次が1月です。これは不動産業界でいうところの「一八(いっぱち)」です。
8月は、子どもの夏休みやお盆などさまざまな予定が多く動きにくい時期です。加えて何よりも暑いため、不動産屋さんを訪ねたり、物件を内覧したりするのに適していません。引っ越ししても、すぐにエアコンが付けられないかもしれないなどリスクも伴うため、購入希望者は減ります。

12〜1月も年末年始の忙しい時期で、家を購入して新生活をスタートしようという気持ちにはなかなかなりにくいでしょう。

また、特定の時期に一つのエリアで売却が集中すると、相場に影響が出るといったケースもあるので注意が必要です。似たような築年数や間取りの物件が一気に売りに出されるようなことがあれば、周辺の相場が下がります。相場が下落気味の時期に大規模マンションが分譲されると、周辺の中古物件は値崩れしてしまうでしょう。そのような場合は、早めに売りに出すなど、手を打つ必要があります。

まとめ

不動産を売却する際には、自分目線でタイミングを決めるのではなく買主目線で考えることが成功へのポイントです。不動産の良し悪しももちろん大事ですが、売る時期やタイミングにかかっているといっても過言ではありません。

不動産の売却を検討している方は、今回紹介したポイントを踏まえて、ご自身にとっていつが最適なタイミングなのかを検討したうえで活動を進めましょう。

最適なタイミングで売却することができれば、購入時より高い価格になる可能性もありえます。一方、タイミングを間違えてしまうと損失が生じることも多々あるため、注意が必要です。

不動産を売却する際は、不動産の仲介会社を正しく選ぶことも重要です。知識やノウハウを十分に兼ね備えた、売却の経験値が高い不動産会社であれば、高値での売却も可能かもしれません。

売り時を判断するタイミングにはさまざまな要素があり、悩まれるケースは多いでしょう。不安や迷いを感じられているのであれば、プロの不動産会社に相談するのが一番です。  
※こちらの記事は[2023-04-06]時点の記事になり、今後法改正などにより変更になる可能性がございます。

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